日常音と音楽の違い

風涙子

音、音楽について書いている。
「日常音」を「日常動作」、「音楽」を「踊り」に置き換えて考えられることもできる。

日常音と音楽とは、いくつか違うところがある。

1 要素の多様さ、ヴァリエーションの多さ

日常音では、たとえば、ペンを机に落としカチッと音がし、さらにバウンドして立てる音がある。それは、リズム的には複雑だが、音程・音色が何度落してもだいたい同じ。いつだれが聴いても、ペンを落とした音と分かり、音現象としての類似性が高く、バリエーションが少ない。

それが音楽では、リズム以外(音程、音色)も複雑で、その意味で要素が多く、ヴァリエーションが無尽にある。

2 圧縮性の違い

日常音は、たとえば、高速道路の車の音は絶えず聴こえ続けるが、だいたい同系統の音。そのような聴こえ続ける音のほか、日常音には、一度鳴っても、音を立てた物体はいずれ静止するので、音の多くは減衰して聴こえなくなるというのが特徴。
その意味で、ある一つの場所においては、音が聴こえない時間は多く、無音に近い時間が多い。別の場所での別の物体の音が聴こえてくることはあるが。

音楽では、基本的に絶えず音が聴こえ続ける。個々の音は減衰して消えるが、意図して間(休符)を設ける場合以外は、音楽が終わるまで次の音が並べられていく。これは、音楽は日常音に対し、同じ時間の中での音現象の圧縮性が高いことがいえる。

3 構成と展開があるか

日常音の多くは、人間があえて狙って出すものは少ない。人間の活動の結果として、付随して出るだけのものが多い。そのため、日常音は、不規則に、複雑系的に、聴こえてくる。

一方、音楽は、日常音より、少なくとも相対的には規則的な音。構成や展開が考えられて作られる。

4 非日常性・異世界・異次元性

音楽は、以上のような、要素の多様さ、圧縮性、日常にない規則性・構成・展開により、日常音よりも、非日常性・異世界性、異次元性の感覚をもたらすことが多い。